起業支援に関するインキュベーション施設の現状と大学への適用可能性

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本稿は,アンケートをもとに大学発等ベンチャー企業の実態と,インキュベーション施設におけるインキュベーション・マネージャーの役割を見ながら,今後の大学による新規創業の支援に必要な要素を探るものである.アンケートによると,大学等の機関との連携においては技術面が重視されている.そして,経営面では資金調達や人材,販路の確保などが問題点として挙げられている.創業間もない企業においては,特に情報提供が重要だとされた.これらの問題点を解決していく方法の1つとして,近年注目されている民間インキュベーション施設の事例を取り上げた.そして,インキュベーション・マネージャーが果たす役割を長所と短所にわけて検討した.長所は,(1)産業の集積を行ったこと,(2)集積された企業間の交流を促進したこと,(3)技術のある新規創業企業に対して取引先の紹介などの支援を行ってきたこと,(4)新規創業企業と信頼関係を構築できたことであった.短所は,マネージャー機能の独立性と,異動に伴う連続性の確保であった.最後に,インキュベーション施設の大学への適用可能性を検討した.大学におけるインキュベーション施設は大学内に存在するシードを発掘し,事業化に結び付けることばかりではなく,マーケティングや人材開発,財務などの経営面の支援も行っていくことが重要になり,その際には大学の持つ卒業生や教員のネットワークを有効に活用することが重要となる.
立命館大学の論文
2003-03-30

起業支援に関するインキュベーション施設の現状と大学への適用可能性

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