多目的遊水地公園計画におけるワークショップの意見分析と考察
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
本研究の目的は、大阪府営公園深北緑地において、河川区域を公園区域に組み入れるという多目的利用を前提とした新しいタイプの公園事例として、その計画策定にあたって、ワークショップ(WS)を導入した経過を整理し考察を加えることによって、公園計画策定過程への有効な住民参加型WSのあり方を提起することにある。本研究着手の動機は、WS方式がしばしば特定の参加者の主観的な意見に左右される傾向が強いとしてその有効性に疑問を抱く見方に対して、住民の多様な意見をくみ上げる方法としてWS方式には一定の有効性があり、かつ手法の開発によってその有効性をさらに高めることが可能であると論者が考えたことにある。そこで本研究では、まず1)WSのプロセス計画の開発、2)出された多様な意見の整理手法の開発、3)意見の採用・不採用を決定するための意見の分析および評価手法の開発を行い、それを適用した経過を整理して紹介し、(1)WSが計画策定にいかほどの有効性を有していたか、(2)その問題点と課題、(3)WSの結果を計画案策定へと止揚するためのプランナーの役割について考察を加えた。その結果、(1)に関しては、WSを重ねることで顔見知り程度であった参加者の親近感が高まり自主運営組織立ち上げの方向性が見えたこと、また利用実態調査とワークショップの検討結果がともに自然活用の方向性を明確に示したことにより計画の基本方針を確定できたこと、(2)に関しては議論の前提を確立する必要性、例えば治水緑地に関する新たな技術開発の必要性などが明らかになったこと、(3)に関しては周辺地区との連携関係の構築と自主運営管理組織のイメージの確立等、専門家やプランナーの立場がWSを補完して提起すべき重要な諸問題の存在が明らかになった。
- 関西学院大学の論文
- 2004-03-31
著者
関連論文
- 冬場の海浜型公園における積極的なマネージメント戦略の展開事例(技術報告編)
- 多目的遊水地公園計画におけるワークショップの意見分析と考察
- 伊丹市昆陽池公園の計画設計管理,並びに管理運営の報告
- 公園緑地環境の積極的なマネージメントに関する研究 : 緑系空間を流域で捉えた管理運営計画の方向性について