助詞ヨリ/カラの主格標示用法について : キリシタン文献を中心として
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概要
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助詞ヨリの主格標示用法は,場所的な動作の起点を標示内容とする用法から派生したと考えられ,軍記物語類をはじめとする一般の文献にも萌芽的用法が確認されるが,キリシタン宗教文献類に於いて著しく発達し頻用されている。これは,(1) 標示内容が場所的なものに限られていた制約がなくなったこと,(2) キリシタン宗教文献類は上位待遇表現に助動詞ル/ラルを用いず専ら給フを用いるため,上位待遇表現及び受身表現の助動詞ル/ラルとの意味的混乱が回避されており,動作主を標示内容とする助詞ヨリを奪格・主格それぞれの格標示のために積極的に用いたこと,の結果であると考えられる。
- 日本語学会の論文
- 2001-09-29