主語表示「ガ」の勢力拡大の様相 : 原拠本『平家物語』と『天草版平家物語』との比較
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概要
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本稿では,主語表示「ガ」が主節においてどのようにその勢力を拡大させてきたのかを,原拠本『平家物語』と『天草版平家物語』との比較により考察した。その拡大の様相は以下の3点にまとめることができる。a 無助詞主語に付加された「ガ」には,「内項(対象)の明示化」・「外項(動作主)の明示化」の2種がある。「内項(対象)の明示化」が主に見られ,「外項(動作主)の明示化」はわずかである。b 係助詞「カ」「ヤ」から主語表示「ガ」による疑問文への移行も,「内項(対象)の明示化」と軌を一にしている。c 「ノ」から「ガ」への移行は,主に詠嘆表現における「ノ」で起きている。また,わずかではあるが,尊敬対象表示の「ノ」から「ガ」への移行も見られる。
- 2000-06-30
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