陸中宮古方言アクセントの実相
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概要
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岩手県宮古市方言のアクセントは,柴田1955で「のぼりアクセント核」体系とされて以来注目されてきたが,不明な点が多かった。この方言のアクセントの全体像を詳細な調査により明らかにした。音声レベルでは,(A)1基本アクセント節内でアクセント節例によっては2箇所が高まる重起伏調・(B)語によっては声の上昇位置が定まっている・(C )上昇した音節からは少しずつ下降する調子がある(後続語によっては下降しない)・(D)有声音無声化が音調に影響がある・(E)特殊音との関係で音調を担う単位は音節,の5特徴が認められた。音韻論的解釈の結果,アクセント体系は東京式アクセントの「さがりめ」体系とは異なる「のぼり核」体系であることが明確になった。また,同一語の単独1語文と付属語接続時の各実現音調で高い部分が異なる,以前"山が動く"と表現された現象や,基本アクセント節の音調が「起伏」でも「無核」であることなどに合理的説明が得られた。
- 2003-10-01
著者
関連論文
- 国立国語研究所編, 『方言文法全国地図6』, 2006年3月28日発行, 国立印刷局刊, B4異型判, 地図80枚, 解説778ページ, 54,000円+税
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