指示副詞の歴史的変化について : サ系列・ソ系を中心に
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概要
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現代語では指示代名詞と指示副詞は,両者ともに整然とした3系列にまとめることができる。しかし古代語では指示代名詞は3系列であるのに対し,指示副詞には2系列しかなく,まるでそれぞれが別の系列を形成しているかのように見える。本論は,指示副詞サ系列「サ(サウ)」(「シカ」)・ソ系「ソウ」について考察をおこない,その歴史的変化を示した後,その結果と岡崎(1998,1999ab,2001)で明らかにした指示副詞カク系列・コ系(コ系列)・ア系(ア系列)の歴史的変化をあわせ考察し,指示副詞全体の歴史的変化を示す。そして,この指示副詞全体の歴史的変化と,指示代名詞の歴史的変化を比較・考察することにより,これまで古代語では同系列には扱うことができなかった指示副詞と指示代名詞とが,実は両者は歴史を通じて深く関係しながら並列的に変化・発展してきたことを示していく。また,サ系列「サ(サウ)」・ソ系「ソウ」について統語論的な観点からも考察をおこなう。「サ(サウ)」・「ソウ」が構文上表す機能・意味の歴史的変化は,サ系列の用法(照応・直示・観念用法)の変化と,さらにカク系列(コ系)「カク(コウ)」が構文上表す機能・意味にも影響を受けていたことを論じていく。
- 日本語学会の論文
- 2002-07-01