2つの連続性と2本の「海の道」 : 九州西部諸方言の動詞テ形に起こる音韻現象
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概要
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九州西部諸方言の動詞テ形には,共通語の「テ」に相当する部分が,[te]や[de]で現れる形と促音や撥音で現れる形との2つの形式が存在し,これらの分布が語幹末分節音の違いによるという音韻現象(テ形現象)が見られる。本稿では,このテ形現象を広域的に調査・分析することにより,テ形現象が3種類に下位分類できること,及びそれらの現象に2つの連続性が発見できることを記述する。更に,テ形現象の方言差を記述するために,促音や撥音で現れる形を持たない動詞の語幹末分節音の集合を弁別素性で表すことによって,「弁別素性の集合演算の違いがテ形現象の形成過程に反映する」という仮説を立てる。これによって,2本の地理的に連続したルート,即ち「海の道」を仮定することができる。更に,2本の「海の道」,即ち西ルートと東ルートとでは形成過程が異なるのではないかといった仮説を提出している。
- 2002-04-01
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