塩化ビニル代替材料による気管内チューブ

概要

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〔背景〕ディスポーザブル医療用貝には,強度・透明性・加工性・安価など,優れた特徴をもつ塩化ビニル(以下,塩ビと略す)が広く使用されているが,(1)可塑剤(DEHP)に内分泌撹乱性の疑いがある,(2)焼却時にダイオキシン類の発生が懸念されるなど問題を抱えている.当社では地球環境の維持改善への貢献を目的に可塑剤および塩素類を含まないスチレン系熱可塑性エラストマー(当社製品,以下ハイブラー【○!R】)を用いた医療用貝の開発を進めている.今回,非塩ビ製の気管内チューブと現行塩ビ製品を比較,検討したので報告する.〔材料〕ハイブラー【○!R】とポリプロピレンの混合物(混合比70/30と75/25)よりメインチューブ,テイルチューブ,カフ,パイロットバルーンを成形し,気管内チューブを作製した.〔比較評価結果〕(1)新開発品は気管内チューブ評価試験(米国材料試験協会F1242-96に準拠)に適合した.(2)カフの笑気ガス透過性は,塩ビ製の約1/3で,笑気ガスによるカフ内圧の上昇も塩ビ製と比較し低かった(気管粘膜の損傷を抑えることが期待される).(3)加圧した際のカフは対称に拡張し,新たに開発した提灯型パイロットバルーンは内圧を良く反映した.(4)耐キンク性は塩ビ製とほぼ同等であった.(5)リドカインスプレーに対して,塩ビ製カフは強度低下が著しいが,開発品のカフは影響を受けなかった.(6)材料の細胞毒性・感作性・皮内反応の各試験に合格した.(7)燃焼試験では,塩ビ製から塩化水素系ガスが検出されたが,開発品からは検出されず,焼却時のダイオキシン類抑制が期待できる.〔まとめ〕無可塑・無塩素のスチレン系熱可塑性エラストマー製気管内チューブは,塩ビ製品と同等の性能を示した.臨床面では,(1)笑気ガスヘのバリア性,(2)リドカインスプレーヘの耐性が期待される.環境面ではダイオキシン類の発生抑制が期待できる.今後,本材料で各種製品への展開を図り,医療用具による環境負荷を低減することに貢献したい.
日本医療機器学会の論文
2003-04-01

塩化ビニル代替材料による気管内チューブ

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