人工呼吸器用加湿チャンバーの変形トラブルの検討

概要

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〔はじめに〕在宅人工換気療法に使用していた加湿チャンバー (水を入れるボトル)が変形するトラブルを経験したので報告する.〔経緯〕非侵襲的換気療法による在宅医療を行っていた患者宅において,未使用中の午前8時〜午後8時頃までの間,加温加湿器の電源を投入したままの状態にしたところ,加湿チャンバーの変形を起こした.加温加湿器は駿河電子社製MI-100(パスオーバー方式,加湿レベルをL・M・Hに可変)をM設定で使用し,加湿チャンバーはフィッシャー&パイケル社製MR-210を使用していた.患児が起床した後,患児の妹が人工呼吸器や加温加湿器の設定等を触ってしまうのを防ぐために,人工呼吸器および加温加湿器の上にタオルをかぶせていた.〔考察〕変形の原因として, (1)加温加湿器の電源の切り忘れ,(2)加温加湿器にタオルをかぶせたために,保温状態となった,(3)加湿チャンバーの水の蒸発,(4)吸気ガスが流れないため,温度を冷やす作用が無かった,(5)加温加湿器の異常制卸,(6)異常加温時の安全機構が働かなかった等が考えられるが,加温加湿器本体には異常が確認されなかったことから,原因は(1)(2)(3)(4)の相互作用と考えられる.対応として,同療法を実施している患者・家族および院内において,加温加湿器の電源切り忘れに対する通達を行った.〔まとめ〕人工呼吸器の未使用中に加温加湿器の電源を投入した状態を持続させると,加温加湿器に故障が無くても,(1)空焚き,(2)吸気フローが無い,(3)タオルをかぶせることによる保温機構等の原因により,加湿チャンバーの変形が起こると考えられた.加温加湿器には異常加温時の安全機構が備わっているが,実際にはこの安全機構が働いていないことが予想される.よって,さらなる安全機構の充実を望むところである.
日本医療機器学会の論文
2003-04-01

人工呼吸器用加湿チャンバーの変形トラブルの検討

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