ヒト血清ガンマグロブリンの抗アレルギー作用に関する研究 : 第1編販治療用ガンマグロブリンの抗アレルギー作用について

概要

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正常免疫グロブリンのアトピー性疾患における意義を追求するため, 今回は市販治療用ガンマグロブリン(γ-gl.)の抗アレルギー作用につき検討し, 次の如き成績を得た.1) 治療以外の実験に用いたγ-gl.は IgG (1140mg/dl), IgM (185mg/dl), IgA (97.5mg/dl), わずわなα_2 macroglobulin を含むことをたしかめた.家塵, ソバ, 全卵, 牛乳に関してはレアギン活性はみとめられなかった.2) 動物実験ではモルモットのヒスタミンショック防禦能, アセチールコリンショック防禦能ははっきりしないが, アナフィラキシー, PCAに関してはヒト血清アルブミンにはみられない著明な抑制効果をみとめた.3) 臨床実験ではPK反応に対する抑制効果はみとめられたが, ヒスタミン皮内反応, 抗原による直接皮内反応の抑制効果はみとめられなかった.4) 14例の気管支喘息患児にγ-gl.大量療法 (50mg/dl) を試み, 71%に効果をみとめたが治療中の血清γ-gl.ヒスタミン皮内反応に関しては著明な変化はみとめられなかった.以上γ-gl.の抗アレルギー作用につき検討し, このような作用の気管支喘息に対するγ-gl.大量療法効果発現のメカニズムにおける意義ならびに正常免疫グロブリンのアトピー性疾患における意義について若干の考察を加えた.
1968-08-31