ヘモリジンによる生体反応に関する研究 : 第II報 自家抗原による実験
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概要
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ホルマリン処置自己赤血球で頻回免疫したウサギに, 生体内溶血機転にもとずくと思われる貧血を惹起せしめうる事が出来た.これらウサギの多数例にクームス・テスト陽性を示す自己抗体と, 溶血素の出現を証明した.異種動物のウサギではホルマリン処置ウシ赤血球と無処置ウシ赤血球との間には抗原性に差異が認られ, 且つ類属反応がみられた.これら自己抗体は, 或る場合にはホルマリン処置自己赤血球及び無処置自己赤血球に対して陽性な場合もある.惹起された溶血性貧血の特徴は, 血色素尿の出現, 赤血球抵抗の減弱, 網赤血球増多, 赤血球大小不同定症及び多染性, 高度の赤芽球症である.なお附属実験として上記の貧血を示したウサギ血清を同種移入する事により, 移入ウサギに再び貧血を発現せしめ得た.尚本実験により証明せられたヘモリジンは, 温度により抗体価の減弱が見られた.以上の結果は, 修飾された自己抗原を用いる事により, 自己血清中に自己抗体を出現せしめうる可能性を示唆するものであり, 今回の実験は自己免疫性溶血性貧血の実験的作製に極めて有効な手段であると思われる.
- 社団法人日本アレルギー学会の論文
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