初診時における気管支喘息予後の推定 : 多変量解析数量化理論第II類による
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
小児気管支喘息における重症度・改善度の検討は, 一定期間の臨床的観察を経て決定されている.今回私は, 初診時の病歴や各種検査データ12項目(性別, 初発年齢, アトピー性皮膚炎合併の有無, 家族歴, 皮内反応陽性抗原数, 室内塵・ダニ・真菌類・花粉類に対する反応性の有無, IgE(RIST)値, 好酸球数, IgG値, 治療開始年齢)を用いて, 数量化理論第II類判別分析を施行し, 患児の予後推定の可能性を検討した.重症度の分類は, 軽症群と中等症・重症群2群間で判別適中率82.31%, 改善度の分類は, 著改・改善群と不変・悪化群間で判別適中率78.65%と良好な結果であった.次に各項目の予後に対する影響度をみるために, 12項目相互のカイ自乗検定を施行し, 独立性のある6項目(初発年齢, アトピー性皮膚炎合併の有無, 家族歴, 皮内反応陽性抗原数, IgE(RIST)値, 好酸球数)を選び, レンジ率等にて検討すると, 第1位は好酸球数, 第2位が初発年齢となり, 好酸球数が予後判定に最も影響をおよぼす結果となった.これより, 初診時の病歴, 検査データを基にした判別分析法は, 患児の予後推定に有用であると思われた.
- 日本アレルギー学会の論文
- 1987-07-30
著者
関連論文
- 180 小児気管支喘息児の食物IgE・IgG_4抗体について, 第四報, 食物IgE・IgG_4抗体とアレルギー諸因子相互関連の多変量解析法を用いた検討
- 179 小児気管支喘息児の食物IgE・IgG_4抗体について, 第三報, 食物IgE・IgG_4抗体相互関連のレンジ率比, カテゴリースコアを用いた検討
- 178 小児気管支喘息児の食物IgE・IgG_4抗体について 第二報, 食物IgG_4抗体を中心とした多変量解析数量化第II類法の検討
- 177 小児気管支喘息児の食物IgE・IgG_4抗体について, 第一報, 食物IgE抗体を中心とした多変量解析数量化第II類法の検討
- 初診時における気管支喘息予後の推定 : 第3編 個人内因子・環境因子が重症化へ与える関連性について
- 初診時における気管支喘息治療効果の推定 : 第2編 小児気管支喘息における治療法選択の試み
- 小児気管支喘息に関する減感作療法の効果判定 : 第2編 多変量解析第II・III類法による検討
- 初診時における気管支喘息予後の推定 : 多変量解析数量化理論第II類による