小児期の末梢血単核球亜型に関する研究 : 第1編 臍帯血, 乳児, 幼児および学童の単核球亜型の正常値について
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概要
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末梢血単核亜型のagingによる成熟度を明らかにするため, 新生児, 乳児, 幼児および学童の末梢血単核球亜型をモノクローナル抗体 (Leuシリーズ)を用いて, fluorescence activated cell sorter (FACS IV)で測定した.対象は臍帯血14例、乳児13例, 幼児11例, 学童15例および20代から30代までの成人13例である.結果: 1) Leu 4陽性細胞(pan T cell)は臍帯血で低値であったが, そのほかの年齢では成人とほぼ同じレベルであった.Leu 2陽性細胞(suppressor/cytotoxic T cell)は臍帯血, 乳児期および幼児期の年齢とともに増加し, 幼児期で成人のレベルに達した.Leu 3陽性細胞(helper/inducer T cell)は幼児期で高値であったが, その他の年齢群では成人とほぼ同じレベルであった.Leu 3陽性細胞とLeu 2陽性細胞の比であるTh/Ts比は臍帯血および乳児期で高値を示し, 以後低下し, 幼児期でほぼ成人のレベルに達した.Leu 7陽性細胞(NK/K cell)は年齢とともに増加した.2) Leu 10陽性細胞(B cell/macrophage)は臍帯血および各年齢群で差が認められなかった.3) Leu M3陽性細胞(macrophage/monocyte)は臍帯血で高値で, その後乳児期で減少し, 幼児期および学童期とやや増加する傾向がみられた.4) HLA-DR陽性細胞は臍帯血と成人では差がみられず, その他の年齢群では成人に比べやや高値であった.以上の結果は, 小児期の単核球亜型の成熟状態やアレルギーおよび免疫疾患の診断やその成り立ちの解析の基礎資料として重要であると思われる.
- 日本アレルギー学会の論文
- 1984-06-30
著者
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