カラムシ (Boehmeria nivea, 英名 Ramie) の花粉に起因する気管支喘息の研究
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概要
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(目的) カラムシはイラクサ科, カラムシ属の植物で, 日本, 中国, 東南アジア各地に広く分布している.長崎地方におけるweed seasonの飛散花粉のうちでカラムシ花粉は最も飛散数が多かった.したがって, このカラムシ花粉が気管支喘息の原因となっているかどうかについて検討を加え, さらにカラムシ花粉により感作されている喘息患者の臨床的把握を目的として検索を行った.(対象および方法) 本院第2内科および小児科の喘息患者219例を対象として, 各種のアレルギー学的検索を行った.(成績) カラムシ花粉エキスの皮内反応陽性率は, 内科系喘息患者の21.8%, 小児科系患者の11.1%と高率に認められた.さらにこれら皮内反応陽性者に閾値, P-K反応, 吸入誘発などの諸試験を行ったところ, カラムシ花粉喘息と考えられる5例を発見した.カラムシ花粉に感作されている例は, 典型的なアトピー型喘息の所見を示した.カラムシの同属には, アカソ, コアカソなど多数の種類があるが, これらの分布は全アジア・北米にまで及ぶため, これらの植物によるpollinosisやpollen asthma は我が国はもとより, アジアを中心とする世界各地に広く存在することが考えられた.このカラムシ属による花粉喘息をカラムシ花粉喘息と呼ぶことを提唱した.
- 日本アレルギー学会の論文
- 1977-11-30
著者
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