アトピー性皮膚炎治療における居住環境対策とステロイド離脱について
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概要
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アトピー性皮膚炎の皮疹の軽快要因を探る目的で, 1年以上経過観察した患者群において, 居住環境変化とステロイド離脱との二要因を評価した. 病勢は, 皮疹のVAS scoringに, 検査値(IgE, LDH, 好酸球数)と患者自身の評価とを組み合わせて判定した. その結果, 居住環境に変化があった群が軽快する傾向はフィッシャーの直接確率計算法によるp=0.143, 一方ステロイド離脱済の群が快方に向かう傾向はp=0.266であった. そこで居住環境変化またはステロイド離脱のどちらかによって軽快する傾向を調べたところp=0.028と危険率5%で有意となった. すなわち, アトピー性皮膚炎は, この二つのどちらかまたは両方を施こすことによって軽快に向かうことが5%の危険率で示唆された. アトピー性皮膚炎の病勢を規定する要因は多岐にわたり, その内の一つのみを捉えて解析しても有意差は出にくいので, 複数の要因にまたがって検討する必要があると考えられた.
- 日本アレルギー学会の論文
- 1999-05-30
著者
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