臨界レイノルズ数領域における球の抵抗 : ヒステリシスについて
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概要
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球の抵抗がレイノルズ数の増加とともに激減する臨界レイノルズ数領域において, 履歴のちがう流れが球のまわりの流れの特性に与える影響を調べた. この領域における球の抵抗係数は流れの履歴により2倍以上の差があらわれヒステリシスループを画くことが明らかになった. その履歴効果はレイノルズ数が2.18×10^5から2.53×10^5の間で測定され, 抵抗係数の値も増速一方の定常流で0.42, 減速一方の定常流では0.15であった. 球の抗力測定のほか球表面圧力の測定, 油膜法によるはく離点近傍の流れの観察により, この領域では増速一方の定常流の場合に球の境界層に縦うずを生じて遷移境界層を作り, 高いレイノルズ数で乱流境界層に移る遷移過程が, 減速一方の場合低いレイノルズ数まで乱流境界層を持続するという非可逆過程がヒステリシスの原因になることを明らかにした.
- 一般社団法人日本機械学会の論文
- 1981-09-25