老人保健施設入所者のQOLと生活環境ストレスおよびADLの関連性

概要

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本研究は,施設入所高齢者のQOLには精神的健康度(一次要因)が影響し,またその精神的健康度には個体要因としてのADL機能と環境要因としての生活環境ストレス認知(二次要因)が関係するとする逐次的モデルを構築し,そのデータへの適合度の検討を行った。調査施設は群馬県内37の老人保健施設のうち調査協力が得られた9施設とし,また調査対象は厚生省研究班の「痴呆スクリーニング基準」に依拠し施設職員があらかじめ非該当と判断した147名とした。統計解析には,バーセル・インデックスで測定した基本的ADL得点,精神的健康度は「日本版CES-D」の「うつ感情」得点,そして「改訂生活満足度スケールLSI-A」ならびに「短縮版PGCモラール尺度」で測定されたQOL得点を用いた。共分散構造分析で解析した結果,前記因果関係がデータに十分適合することを明らかにした。とりわけ,生活環境ストレス認知の側面においては,「設備環境ストレス」因子が精神的健康度に影響をもつことが明らかにされた。以上の結果は,今後の老人保健施設を快適な「生活の場」とする上で,重要な知見であると推察された。
日本保健科学学会の論文
2002-09-25