農業における労働力調達とカースト・システム : ネワール,ミティラー,パルバテ,ヒンドゥー社会からの考察
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
ネワール社会研究では交換労働をカースト社会における平等原理の存在の根拠とする議論がある。ここでは主張の限界を具体的な資料と比較をもって明らかにし,同時に南アジアでの交換労働の広がりと論理を考察する。筆者の調査によれば,世帯外労働としてはネワールでは交換労働,ミティラーでは常雇い農業労働者,パルバテ・ヒンドゥーでは多民族を巻き込んだ雇用関係および交換労働が主体である。また,インドの村落研究,農業論における交換労働の比重は低く,全体としてインドでは交換労働は盛んでないといえる。一方,サブ・ヒマラヤ地域ではこれは一般的で,ネワールの交換労働をチベット・ビルマ系の諸民族とのつながりで考察する必要性も示唆している。ネワールの例は特異でこれを根拠にカースト社会一般での平等性の存在を主張することには限界があるが,一方,この例はカースト・システムが多様なカースト内関係を含み得ることを示している。
- 日本文化人類学会の論文
- 1991-09-30
著者
関連論文
- ネパール語研修について (昭和55年度言語研修報告)
- 田辺明生著, 『カーストと平等性 : インド社会の歴史人類学』(Historical Anthropology of Local Society and Vernacular Democracy in India), 東京, 東京大学出版会, 2010年, xii+568頁, 12,000円(+税)
- 社会文化動態の比較研究 : 北部南アジアの動きから (国際ワークショップ報告)
- ネワール語言語研修 (平成14年度言語研修報告)
- Japanese Communication Pattern : A "Hara" and "Atama" Perspective : Tulasi Diwasa (Joshi) (1996.5.1)
- デイヴィッド・N・ゲルナー博士
- インド・アーリア : チベット・ビルマ系文化の接触変容の研究
- インド・アーリア : チベット・ビルマ系文化の接触・変容の研究
- ミティラー社会と文化 : ネワール,パルバテ・ヒンドゥーとの比較の視点から
- インド・アーリア : チベット・ビルマ系文化の接触・変容の研究
- インド・アーリア : チベット・ビルマ系文化の接触・変容の研究
- 具体例へのこだわりと社会単位設定 : 北ビハールの村で
- インド・アーリア : チベット・ビルマ系文化の接触・変容の研究
- 照葉樹林文化
- ジャジマニ制における交換原理の比較研究 : ネパールのカースト社会の調査から
- 第30回日本人類学会日本民族学会連合大会
- ネワール村落における姻戚関係と父系親族の対比
- 喧嘩の効用 : ネワール村落における社会組織維持と紛争の関連
- 第30回日本人類学会・日本民族学会連合大会
- 第15回日本民族学会大会
- 日本におけるネパール・イメージと科学研究費等による研究
- [人と学問]原 忠彦
- 農業における労働力調達とカースト・システム : ネワール,ミティラー,パルバテ,ヒンドゥー社会からの考察
- 原忠彦教授を悼む
- ネワール村落におけるカースト内組織 : phukiとsana guthi
- 第29回日本人類学会・日本民族学会連合大会
- インド村落共同体の研究
- インド村落共同体の研究
- 日本人類学会・日本民族学会28回連合大会
- カースト間関係及びカースト内組織の変容 : ネワール村落調査報告
- インド村落共同体の研究