北海道北部で得られたProctoeces maculatus (Trematoda: Fellodistomidae)の形態および既知Proctoeces属吸虫の数種について
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概要
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北海道北部でエゾアワビとエゾバフンウニから報告されたProctoeces属吸虫のメタセルカリア(SHIMAZU, 1972, 1979)の成虫を見付けるために,稚内で魚類と貝類の寄生虫を調べたところ,ギスカジカ,クロガシラガレイおよびヌマガレイの直腸から成虫,クロソイの小腸から未成熟虫,そしてヒメエゾボラとチヂミエゾボラの腎臓からメタセルカリアを見出した.成虫の形態によって,この吸虫をP. maculatu(LOOSS, 1901) ODHNER, 1911と同定して記載した.この種の北海道北部における生活史を少しく考察した.最近,BRAYとGIBSON (1980)およびBRAY(1983)は,Proctoeces属に記載された種,未固定メタセルカリアおよびセルカリアを,P. magnorus MANTER,1940を除いて,すべてP. maculatusと看做した.これに関連し,既知種のいくつかを再検討して,P. subtenuis(LINTON, 1907) HANSON, 1950, P. major YAMAGUTI, 1934, P. lintoni SIDDIGI et CABLE, 1960, P. buccini LOOS-FRANK, 1969, P. scrobiculariae LOOS-FRANK, 1969, P. hawaiiensis YAMAGUTI, 1970およびP. ichiharai SHIMURA et EGUSA, 1979をP. maculatusのシノニムと認めた.P. ostreae FUJITA, 1925とP. magnorusは未確定種と考えた.稚内で調査時に魚類からえた他種吸虫類(15種)も記録しておいた.
- 日本動物分類学会の論文
- 1984-12-25
著者
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