チタン酸バリウム超微粒子の超高圧CIP成形
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概要
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代表的な電子材料の一つであるチタン酸バリウムは高い誘電率を持っており,セラミックコンデンサ等の電子部品に多く用いられている。積層コンデンサの小型化及び大容量化のため,誘電体潜り薄層化か要求され,原料粉体の微粒化,高純度化,組成均一化の観点から,アルコキシド法,シュウ酸法,水熱合成法等の化学的合成法により得られるチタン酸バリウム微粒子の研究か進んでいる。とくにゾルーゲル法では散十nm以下のチタン酸バリウム微粒子が得られることから近年研究例か多い。ゾルーゲル法には複合アルコキシドを用いる方法や水酸化物とアルコキシドを用いる方法かあるが,後者は簡便な装置と100℃以下という低温で数十nmオーダのチタン酸バリウム微粒子が容易に得られる点に特徴がある^>。しかし,得られる超微粒子は,数十μm程度の大きさの疎な凝集体を作りやす,いったん凝集してしまうとかくはん等の機械的操作で再分散させることは困難である。したがって超微粒子では,粉末合成と同時に粒子分散を行わないと分散安定化ができない.著者らはゾルーゲル法を用いたチタン酸バリウム超微粒子の合成プロセスにおいて,生体由来の低分子量分散剤を合成と同時に添加することにより,分散安定性に優れたチタン酸バリウム超微粒子を合成できることを報告した。また,一般的な合成・分散同時プロセスの例として逆ミセル法やホットソーブ法があるが,これらの方法はTEMレベルで均一なナノ粒子の集合構造が観察されているだけで,ミセル濃度も高くできないためバルク体の作製には適さず,積層コソデソサ等への応用は難しい。このように,超微粒子の凝集構造の制御法には上記の逆ミセル法や合成時の界面活性剤添加などの方法があるが,別のアプローチ法として超高圧の利用により微粒子の凝集構造を破壊する方法がある。Glitterらは,PVD法で生成した粒子径数nmの超微粒子を合成装置内で金型に充填し,最大5GPaの1軸加圧で成形することで,焼結せずに緻密なバルク体を得ることに成功した。しかし,この方法は,粒子合成装置と成形装置を一体化した特殊な設備を必要とし,生産性やコストも高く,一般的なセラミックスの製造には適さない。また1軸加圧成形のため均一な構造が得られない。一方,Kamiyaらはムライト,シリカ,アルミナ等の材料において,数〜数十nmの超微粒子の等方圧成形(〜1GPa)により相対密度60〜80%の高密度成形体を得た。この高密度化は1GPaという超高圧が超微粒子の凝集構造を破壊し,更に粒子同士の接触点の塑性変形を促進することによると報告している。しかし,このような方法を用いた超微粒子の高密度化の研究はアルミナ,ムライト,シリカ等の構造材料用原料での検討か中心で,誘電体材料等の機能性材料粉末の高密度化に関する研究報告はない。そこで本研究では,0.2 Gpa程度までの低圧力の加圧成形やシート成形等の方法では高密変成形体を得るのか困難なゾルーゲル法で合成したチタン酸バリウム超微粒子においても同様の効果を期待し,高圧での等方圧成形が超微粒子を用いた成形体及び焼結体の特性に与える影響について検討した。
- 2003-04-01
著者
-
神谷 秀博
東京農工大 大学院共生科学技術研究院
-
田中 謙次
(株)村田製作所
-
田中 謙次
(株)村田製作所 野洲事業所 材料開発センター 材料開発統括部積層技術開発部
-
田中 謙次
(株)村田製作所 技術開発本部 第3開発グループ商品開発室
-
五味 健二郎
東京農工大学大学院生物システム応用科学研究科
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