少子化政策と不妊問題 : 出生率増加政策における不妊治療の有効性
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概要
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近年、少子化が社会的な問題として注目され、その対策のひとつとして不妊治療の奨励を法の中でとりあげ、出生数の増加につなげようという動きがみられる。しかしこのような動きが不妊女性に治療を受けざるをえないような状況をもたらす可能性は大きい。人口学の統計分析からは、不妊治療の奨励が出生率の増加に貢献するという見方もある。しかし本稿では視点を変え、1999年末に国会に提出された「少子化社会対策基本法案」の内容を参考にし、不妊治療の現状をふまえながら、少子化対策のために不妊治療について触れることへの検討を試みた。その結果、個々の生殖の権利、治療費の問題、不妊の情報提供や不妊相談システムが十分整備されていない点、成功率などを考慮すると、不妊治療の奨励は、出生率増加に効果をもたらす以上に、生殖医療に関連する複雑な問題や危険性を生じさせる可能性が大きいという結論を得た。
- 日本生命倫理学会の論文
- 2001-09-17
著者
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