帝切施行重症妊娠中毒症例に発症した定型的なDICとその凝血学的諸因子の消長
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
我々は重症妊娠中毒症の患者に帝王切開術を施行した為に発症したと思われる典型的なDICを経験し、凝血学的検査によりDICの進展および消長、特に凝固元進の結果としての血小板数およびフィブリノーゲソ値の消費性低下の動向を経時的に追求できたので報告する。症例は29歳、1GOPであり、妊娠29週より重症妊娠中毒症を発症し、妊娠33週に胎児仮死のため緊急帝切を施行したが、1,350gの女児は仮死(Apgar1点)より真死へ移行した。帝切施行翌日、創部出血を認めたためDICを疑い検査施行、血小板数81,000/mm^3、フィブリノーゲソ値200mg/dl、血中FDP値160μg/mlよりDICと診断し、補充療法および補助療法を試みながら経時的に凝血学的検査を施行するに、血小板数およびフィブリノーゲソ値の減少など、DICの進行を観察でき,さらに治療による消長を追及することができた。ヘパリソFOY^(R)併用投与により出血量の増量をみたため,FOY^(R)80mg/日単独投与とし、それによりDICの消退をみることができ、また、線溶冗進状態の安定化をみてから妊娠中毒症後遺症に対し、線溶療法を試み、尿蛋白および血中・尿中FDP値の低下を認め、第60病日、諸検査値の正常化をみて退院となつた。
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1984-11-01
著者
関連論文
- 189.術中迅速細胞診で大腸癌と鑑別しえた大腸子宮内膜症の一例(消化器3, 一般講演・示説, 第29回日本臨床細胞学会総会・学術集会)
- 10. 妊娠中毒症に対するウロキナーゼ療法の有用性,その限界と問題点について : 第2群 妊娠・分娩・産褥 II
- P-104 妊婦スポーツ中における胎児ストレスの評価 : 母児の血行動態の検討から
- 338.骨盤位自己回転法の基礎的,臨床的検討 : 第57群 妊娠・分娩・産褥VII (335〜341)
- 35. 妊娠中毒症後遺症に対するウロキナーゼ療法の有用性とその限界に対する検討 : 第6群 妊娠・分娩・産褥 VI (32〜37)
- 帝切施行重症妊娠中毒症例に発症した定型的なDICとその凝血学的諸因子の消長
- 234. 低酸素負荷によるラット新生仔の脳血管パターン : 第41群 胎児・新生児 I
- 胎児医学の現況
- 173 経腟超音波断層法による子宮頸管長計測の切迫流早産予知に対する有用性の検討
- 胎盤遺残の取り扱い方 (今月の研修テーマ)
- 読者からの手紙