分娩後の血清総コレステロール,HDLコレステロール,動脈硬化指数
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概要
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分娩後の血清脂質の推移を検討した報告は少ない.当センター通院中の正常妊婦で妊娠中血清総コレステロール(TC)300mg/dl以上を示し,分娩後TC250mg/dl以下となるまで観察し得た58例を対象とした.妊娠中のTC頂値によりA群(350mg/dl未満),B群(350mg/dl以上)とした.各々33例,25例であった.また,A群を分娩後10週以内でTC250mg/dl以下となったA1群と11週以上を要したA2群とすると,各々20例,13例であった.同様にB1群,B2群に分類すると,各々12例,13例であった.これら対象のTC,HDLコレステロール(HDL-C),動脈硬化指数((TC-HDL-C)/HDL-C,AI),体重の分娩後の推移を検討した結果,次の成績を得た.1)分娩後6週以下のTCはA群よりB群が有意に高値であった(245±34(SD)vs288±38mg/dl,p<0.02).7週以後,両群に有意差はなかった.HDL-Cは分娩後A,B群間に有意差はなかった.AIは分娩後6週以下でA群2.5±0.8,B群3.6±1.0と前者が有意に低値で(p<0.02),その後有意差はなかった.2)分娩後TC250mg/dl以下となるまでに要した期間はA群9.4±3.5週,B群11.2±3.1週で前者が有意に短かった(p<0.05).3)A1群とA2群のHDL-Cは有意差はなかったが,B1群70.7±11.4mg/dl,B2群59.0±10.4mg/dlと前者が有意に高値であった(p<0.02).AIはA1群,A2群間に有意差なく,B1群2.4±0.6,B2群32±0.9と前者が有意に低値であった(p<0.02).4)分娩後の1週間当り平均体重減少量はA1群1.1±0.4kg,A2群0.7±0.2kgで前者が有意に多く(p<0.01),B2群よりB1群が有意に多かった(0.7±0.3vs1.0±0.2kg,p<0.01).分娩後6週以下ではA群の脂質代謝改善が良好で,7週以後は妊娠中の高コレステロール血症の相違が反映されなくなることが示唆された.TC250mg/dl以下となる期間はA群が短かった.妊娠中,高度の高コレステロール血症を呈したB群も,分娩後体重減少良好な例は短期間で血清脂質の改善が認められた.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1984-12-01
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