ヒト子宮頚部正常および異常上皮培養細胞の形態学的研究

概要

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In vitro の発癌実験や癌細胞が浸潤能を獲得する際に起こる変化を研究するために,ヒト子宮頚部上皮の培養細胞を用いたモデルが応用可能かどうかの基礎的実験として,子宮頚部正常扁平上皮,異形成上皮,上皮内癌,浸潤癌の初代組織片培養並びに継代培養を試みた.これらの増殖特性と培養細胞について形態学的特徴を検討し,以下の知見を得た.1)培養液に L-valine を D-valine で置換した Eagle's MEM(以下DVM) を用いて,fibroblast の増殖抑制を検討した.その結果 lag phase が延長し,増殖は20〜50%に抑制された.この傾向は移植細胞数が少ないほど著明であった.一方,上皮細胞の増殖には影響が認められなかった.2)DVMを使用して正常扁平上皮,異形成上皮,上皮内癌は3回まで継代可能であった.3)培養細胞の Papanicolaou 染色での観察では初代および継代培養細胞ともに病変が高度になるにつれて,核の大小不同, hyperchromasia などが著明となり in vivo の所見と類似した.また,透過型および走査型電顕所見でも,培養細胞は各々の in vivo の細胞の特徴を保持しており継代によっても著変は認められなかった.
社団法人日本産科婦人科学会の論文
1984-12-01