同一患者より樹立した子宮内膜癌細胞株3種の細胞生物学的性状とその Heterogeneityに関する解析
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概要
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子宮内膜癌の細胞生物学的性状を解明し, 有効な治療法の確立のため子宮内膜癌細胞株樹立を試み, 同一の子宮内膜癌患者より3種類の性格の異なる細胞株(KKNS-1, KKNS-2, KKNS-3)を樹立した. これらの細胞株は1年以上, 50代以上継代してなお安定した増殖を保つており, 染色体数は2倍体領域にあり接触阻止が起こらず, 容易にpile upし, 異種動物への移植が可能であり, 形成された腫瘍が原腫瘍に類似していることより, いずれもヒト子宮内膜癌細胞と断定された. これらを解析したところ, KKNS-1は組織型は未分化型, 倍加時間は35時間, estrogen receptor(ER)は陰性, HLA-ABCは陽性, HLA-DRは陰性, 抗癌剤・ホルモン剤には感受性を示さなかつた. KKNS-2は組織型は分化型, 倍加時間は60時間, ERは陽性, HLA-ABCは陽性, HLA-DRは陽性, 抗癌剤には感受性を示さず, ホルモン剤には感受性を示した. KKNS-3は組織型は未分化型, 倍加時間は28時間, ERは陰性, HLA-ABCは陽性, HLA-DRは陰性, 抗癌剤には感受性を示したが, ホルモン剤には感受性を示さなかつた. すなわち子宮内膜癌においても組織学的に認められる形態のheterogeneityは細胞生物学的にも様々な差として認められることを明らかにし, 抗癌剤やホルモン剤を用いた治療に際しては heterogeneityに十分な注意を払う必要のあることを示した.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1988-09-01
著者
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