リスザル卵胞卵の体外媒精後の超微形態学的観察
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
米国ミシガン州立大学内分泌研究所においてリスザル卵胞卵の体外媒精後の超微形態学的検討を行つた. 成熟雌リスザルに外因性ゴナドトロピン (FSH-hCG)を用いて排卵誘発を行い, 腹腔鏡により卵巣卵胞卵を採取した. 21時間の成熟培養後, electroejaculation法で採取した精子を用いて24時間媒精培養後の45個の卵子について切片作製が行われ, 光顕学的ならびにその超微形態学的検討を行つた. 形態学的に受精と判定された卵子は6.7%の低率にとどまり, また卵細胞質中の精子残遺物は認められなかつた. 15個 (33.3%)の卵子が第2減数分裂中期を示し, 全体としての卵成熟率は40%であつた. 超微形態学的に1) 卵丘細胞層中に先体反応を完了した精子を認め, in vitroで capacitationが起きたことを確認した. 2) 卵核胞期卵において細胞質中に表層粒を認め, ゴルジ装置が表層粒を産生している可能性を示唆した. 3) 第2減数分裂中期の卵において中期染色体, 第1極体, 表層粒を認めた. 4) 受精卵と判定された中で6個の前核様構造を有する卵子, 雌雄前核接合 (syngamy)を思わせる卵子が観察されたが, 正常受精卵の超微形態像を得ることはできなかつた. 今回の低受精率の原因として, 外因性ゴナドトロピンの反復使用による卵胞反応の低下および卵細胞質の未熟性が示唆された.
- 1988-09-01
著者
関連論文
- W-III-7.卵巣腫瘍におけるras癌遺伝子産物P21発現およびその推移の検討(腫瘍マーカー, ワークショップ(III), 第29回日本臨床細胞学会総会・学術集会)
- 7 HTCAを用いた抗癌剤感受性の変化についての検討 : ヌードマウス移植癌を用いた
- 271 卵巣癌における温熱化学療法の有効性について : ヌードマウス可移植性ヒト卵巣癌株を用いて
- 374. Human tumor stem cell assayの基礎的検討 : ヌードマウスを用いて : 第64群 悪性腫瘍 VII
- In vitro (HCTA)とin vivo (ヌードマウス)の抗癌剤感受性テストを併用した卵巣癌の化学療法について
- 85・ヒト顆粒膜細胞の黄体化とGonadotropin 吸着能およびEstrogen 取り込みの細胞形態学的研究 : 第23群内分泌・卵巣II
- 319 単クローン抗体によるヒト癌組織における絨毛癌関連抗原の発現
- 3 卵巣腫瘍におけるras癌遺伝子産物p21発現およびその推移の検討
- 30 胎盤構成細胞上のHLA抗原及び癌・トロホブラスト抗原の発現誘発
- I-3 皮膚温, 筋電図バイオフィードバック訓練や軽マッサージにより, 歩行障害および慢性疼痛が改善した癌手術後遺症の一例(第17回日本バイオフィードバック学会総会演題抄録)(一般演題)
- I-C-33 指端紅痛症に対するバイオフィードバック療法など行動療法の試み(慢性疼痛I)
- 79 MTX耐性獲得による細胞表面抗原の変化
- 経尿道的超音波断層法 : 子宮頚癌の膀胱浸潤度の検討(第280回北海道地方会,学会抄録)
- 147 経尿道的超音波断層法による子宮頸癌膀胱浸潤の判定
- 117. 子宮頸部扁平上皮癌放射線療法中の細胞診・組織診の経時的観察 : 予後良好群と不良群の比較(婦人科19 その他その2, 一般講演・口演, 第26回日本臨床細胞学会学術集会)
- 70. Endometrial stromal sarcoma (low grade)の 症例について(婦人科7 非上皮性腫瘍その1, 一般講演・口演, 第26回日本臨床細胞学会学術集会)
- 386. サルの体外受精卵の超微形態学的研究 : 第64群 不妊・避妊 II (383〜388)
- 159. 絨毛細胞におけるHLA(A,B,C)抗原の有無について : 第34群 産科免疫II
- 10.培養絨毛癌細胞に対する細胞学的検討(第3群:婦人科〔非上皮性・絨毛性〕, 一般講演, 第22回日本臨床細胞学会総会)
- リスザル卵胞卵の体外媒精後の超微形態学的観察
- 109 臨床的妊娠を得るには何回の排卵を要するか? : ヒトの生殖効率について
- 70.PMS前処置ラット卵巣を使用した高感度のFSHラジオレセプタ アッセイ : 第20群内分泌・レセプターI