当科での, 過去6年間における心疾患合併妊娠の臨床統計的検討

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心疾患合併妊娠の安全限界を検討するために, 1982.1から1987.12の6年間に, 国立循環器病センター周産期治療科で積極的に管理した240例の心疾患合併妊娠分娩の臨床経過を検討して, 心疾患合併妊娠の現状を明らかにし, 安全限界を考察した. 症例の内訳は, 先天性心疾患が240例中96例(40.0%)で, そのうちの2例は, 肺高血圧のために右→左シャント優位となつたアイゼンメンジャー症候群であつた. 後天性弁膜疾患は42例(17.5%), 不整脈疾患は83例(34.6%), 大動脈炎症候群7例, 心筋症7例, 続発性の狭心症2例, そして原発性肺高血圧症, マルファン症候群に合併した解離性大動脈瘤, 心外膜炎が各1例ずつであつた. 母体予後は, 240例中心不全となつたものが19例で, そのうちの2例が母体死亡, 他の2例が分娩終了後1年以内に死亡した. 母体死亡した1例は, 大動脈弁の人工弁置換術後の弁不全の症例であり, 他の1例は, 原発性肺高血圧の症例であつた. 分娩終了後1年以内に死亡したのは, 心筋症の2例であつた. また, 心不全とはなつていないが, 母体心負荷軽減目的に, 16例で人工早産を行つた. 一方, 児の予後は, 胎内死亡が5例で, そのうち3例が母体心機能悪化のために死亡した. 他の1例は児の心奇形, 残る1例は臍帯過捻転であつた. また, 児の心奇形は8例あつた. 出生時の体重が-1.5SD以下であつたSFD児は, 双胎および妊娠週数の不確実な例を除いた229例中34例14.8%であつた.
1988-09-01

当科での, 過去6年間における心疾患合併妊娠の臨床統計的検討

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