594例の心疾患合併妊娠管理に基づく疾患構造別Maternal risk, Fetal riskの検討
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概要
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心疾患合併妊娠の安全性を検討するために1982年1月から1993年12月までの12年間に国立循環器病センター周産期科で妊娠及び分娩管理した双胎9例を含む594例(児603例)の臨床経過に基づき心疾患合併妊娠の現状を報告し考察を加えた. 対象とした心疾患合併妊娠を8グループの疾患構造別に分類すると, 先天性心疾患で肺高血圧症あり8例(1%)と肺高血圧症なし219例(37%), 僧帽弁逸脱症38例(6%), 後天性弁膜疾患で弁置換あり9例(2%)と弁置換なし54例(9%), 不整脈222例(37%), 心筋症15例(3%), その他29例(5%)であった. Maternal riskを母体死亡と母体適応人工早産で検討した. 長期予後を含めた母体死亡は7例で, その内訳は心筋症4例(拡張型心筋症3例, 肥大型心筋症1例), 肺高血圧症を来した疾患2例(原発性肺高血圧症, 動脈管開存症), 後天性弁膜疾患の大動脈弁置換症例1例であった. 母体適応人工早産は32例(5.4%)に実施し, 先天性心疾患(肺高血圧症あり)ではその割合が最も高く8例中6例(75%), 続いて心筋症15例中4例(27%), 後天性弁膜疾患(弁置換あり)9例中2例(22%)であった. Fetal riskを児死亡, 胎児発育, 児の心構築異常の有無で検討した. 母体心疾患の悪化により子宮内胎児死亡したと考えられるのは4例で, 後天性弁膜疾患(弁置換あり)2例, マルファン症候群1例, 拡張型心筋症1例であった. Light-for-dates児は心疾患合併妊娠全体の9.8%であり, 高頻度に認めた疾患は先天性心疾患(肺高血圧症あり)8例中3例(38%), 後天性弁膜疾患(弁置換あり)9例中3例(33%)であった. 児の心構築異常は先天性心疾患母体228例から出生した児の8例(3.5%)に存在した. Maternal risk及びFetal riskの高い心疾患は先天性心疾患(肺高血圧症あり)と後天性弁膜疾患(弁置換あり)であり, 心筋症はMaternal riskが明らかに高いことが示唆された.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1996-04-01
著者
-
千葉 喜英
国立循環器病センター周産期治療部
-
小林 秀樹
国立循環器病センター周産期治療部
-
村上 雅義
国立循環器病センター周産期治療科
-
神崎 徹
大阪大学医学部産婦人科
-
村上 雅義
国立循環器病センター企画室
-
村上 雅義
国立循環器病センター
-
神崎 徹
日本産科婦人科学会周産期委員会・胎児心拍数図の用語及び定義検討小委員会
-
小林 秀樹
福岡徳洲会病院
-
和田 弘子
大阪大
-
千葉 喜英
国立循環器病センター
-
和田 弘子
大阪大学医学部産婦人科
-
川口 日出樹
国立循環器病センター周産期科
-
神崎 徹
日超医胎児計測標準化小委員会
-
千葉 喜英
国立循環器病センター 輸血管理室
-
小林 秀樹
国立循環器病センター周産期治療科
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