島根県子宮頚癌集団検診における受診率と癌発見率及び死亡率に関する研究

概要

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子宮頚癌集団検診における検診効果を評価するために,モデル地区(隠岐島島後;対象人口5,766人)を選定し,5年間の集団検診を実施し,受診率と癌発見率及び死亡率について島根県全体と比較検討した.その結果,以下の成績を得た.1)島根県の子宮頚癌死亡率は年々減少し,昭和57年で,10.8となったが,受診率は10%未満とほぼ一定である.2)モデル地区の5年間の平均受診率は37.5%であり,島根県の平均受診率は8.4%であった.平均死亡率はモデル地区7.8,島根県11.5であった.3)子宮頚癌死亡率は,モデル地区選定後4年で0となった.4)モデル地区の5年平均子宮頚癌発見率は0.204%であり,島根県0.108%の約2倍であった.5)高度異型上皮,上皮内癌,浸潤癌ともにモデル地区の方が島根県よりも発見率は高く,特に高度異型上皮,上皮内癌の発見率が有意に高かった.6)新受診者の受診率5%以上で,癌発見率は高値であった.以上により,子宮頚癌死亡率を低下させる効率的な集団検診は受診率を35%以上に保つ事が必要と思われる.
社団法人日本産科婦人科学会の論文
1985-03-01