16α-hydroxyestroneのRIAとその妊娠, 分娩時の動態
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概要
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16α-hydroxyestrone(16α-OH-E_1)は,estriolにいたる重要な中間代謝産物である.しかし,生体内の本ステロイドを測定する方法が確立されていなかつたため,その動態は不明で,臨床的意義も十分解明されていない.今回,16α-OH-E_1に特異的なradioimmunoassay(RIA)法を開発してその実用性を検討し,興味ある臨床データを得たのでここに報告する. 方法:16α-OH-E_1-3-CME-BSAで,家兎に免疫し抗血清を作つた.16α-OH-E_1-[chemical formula]は,estrone-[chemical formula]をNADPH加胎児肝臓組織ホモジネートとincubateし生合成した.妊婦母体末梢血,臍帯動静脈血および羊水を検体として採取した.各々の,plasmaおよび羊水上清に,トレーサーとして16α-OH-E_1-[chemical formula]を1,000dpm加えエーテル抽出後,TLCおよびLH-20で分離,16α-OH-E_1の分画を集め,回収率補正後,残りでRIAを行つた. 成績:妊婦母体末梢血中濃度は,妊娠12週未満で0.98±0.07(平均値±S.E.)ng/ml,妊娠12週から24週末満で2.42±0.30ng/ml,妊娠24週から37週未満で4.76±0.42ng/ml,妊娠37週以降5.49±0.98ng/mlであり妊娠12週未満に比し,中期以降は有意に高値を示した.正常分娩中の母体末梢血値は,分娩第1期5.48±0.59ng/ml,分娩第2期4.63±0.53ng/mlであつた.また臍帯動脈血13.63±l.98ng/ml,臍帯静脈血15.88±1.77ng/ml,羊水8.44±1.85ng/mlであつた.胎児仮死例の本ステロイド値は,母体末梢血分娩第1期4.60±0.96ng/ml,同第2期4.65±l.14ng/ml,臍帯動脈血6.75±1.37ng/ml,臍帯静脈血7.52±1.46ng/ml,羊水8.11±3.13ng/mlであつた.無脳児例では,母体末梢血分娩第1期0.79±0.07ng/ml,同第2期1.39±0.46ng/ml,臍帯動脈血5.60±3.20ng/ml,臍帯静脈血1.25±0.28ng/ml,羊水0.58±0.04ng/mlであつた.臍帯動静脈血中濃度は,正常分娩例に比し,胎児仮死例,無脳児例で有意に低値を示した.16α-OH-E_1は胎児・胎盤側分泌が主で,胎児予後を反映することが推察された.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1985-11-01
著者
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