子宮頚癌におけるTγ,Tμ細胞の動態とその臨床的意義
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
子宮頚癌58例を対象として,全T細胞に対するTγ,Tμ細胞比率(Tγ,Tμ細胞%)を検索すると同時に,TNP修飾自己リンパ球に対する免疫応答系においてTγ,Tμ細胞のhelper T細胞活性,cytotoxic T細胞活性およびsuppressor T細胞活性を検索し,以下の成績を得た.1)Tγ細胞%は臨床病期が進むに従い増加し,一方Tμ細胞%は0期では正常域にあるものの,I〜III期では約40%と低値を示した.2)リンパ節転移陽性では,Tγ細胞%は有意に増加,Tμ細胞%は逆に有意に減少していた.3)Tγ細胞%は術後1〜3週で正常化する傾向を認め,一方Tμ細胞%は術後1,2週で一旦は減少するものの以後漸増傾向を認めた.4)単離Tγ,Tμ細胞の機能解析から,Tγ細胞は主としてsuppressor T細胞を,Tμ細胞は主として、Helper T細胞およびcytotoxic T細胞を含むことが示唆された.以上の成績から,Tγ,Tμ細胞の検索は,頚癌進展度とリンパ節転移の予測および治療効果の判定に関して有力な指標となり得るばかりでなく,Tγ細胞の増加(suppressor T細胞活性の亢進)あるいはTμ細胞の減少(helperおよびcytotoxic T細胞活性の減弱)として,T細胞subsetsの機能異常を推し量る手段としても有用であると考えられた.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1982-11-01
著者
関連論文
- P-258 子宮内膜症腹水単核細胞におけるサイトカイン遺伝子の発現
- 133 ヒト子宮内膜におけるsex hormone binding globulinの発現とその制御機構
- 273 N-methyl-N-nitrosourea (MNU)誘発マウス子宮内膜発癌に対するestrone (E_1), estradiol (E_2)の発癌増強効果
- 350 N-Methyl-N-nitrosourea (MNU)及び17β-estradiol (E_2)誘発マウス子宮内膜増殖症の経時的変化
- 90 細胞診材料より得られた正常子宮内膜性周期における核小体オーガナイザーの変化
- 20 子宮内膜癌及び前癌病変における核小体オーガナイザー動態に関する研究
- 310 OK-432による癌性腹水中への抗腫瘍性cytokineの誘導とその機序
- P-22 化学誘発マウス子宮内膜発癌過程におけるras群及びp53遺伝子の関与
- 166. 子宮頚癌患者単核球のInterleukin 2による抗腫瘍活性の変動に関する研究 : 第29群 免疫 IV
- 113. 子宮頚癌患者単核球のInterleukin 2産生能および反応能に関する研究 : 第19群 免疫 I (109〜114)
- 284.モノクローナル抗体を用いた子宮頚癌患者腫瘍局所の検討 : 第48群 悪性腫瘍 VIII (283〜288)
- 106.母児間の免疫学的調節機構に関する研究 : 臍帯血リンパ球subsetsの抑制活性 : 第18群 免疫 III (104〜110)
- 26.子宮頚癌患者における癌特異的細胞性免疫能と免疫賦活剤局所注入の癌特異的細胞性免疫能に及ばず効果 : 第7群悪性腫瘍・免疫IV
- 34.子宮頚癌における免疫療法 : 第7群 子宮頚癌 免疫 その2
- 72 Macrophage系細胞の分化とinterleukin 1β産生機構に対する性steroidの作用
- 87 婦人科癌細胞株に対するtumor necrosis factorとΔ^-prostaglandin J_2の抗腫瘍性併用効果の解析
- 295 子宮頚癌, 卵巣腫瘍におけるepidermal growth factor (EGF), EGF receptorおよびtransforming growth factorの発現
- 73 婦人科癌患者末梢血単核球のInterferon-γ産生能とその調節機構
- 311 婦人科癌細胞株に対するTumor necrosis factorの細胞傷害効果 : Interferon, 抗癌剤との併用効果
- 271. 子宮頚癌患者における特異的細胞性免疫能とその抑制機構に関する研究 : TNP修飾自己細胞に対する増殖性及び細胞障害性反応の検討 : 第56群 婦人科免疫III
- 35. 子宮頚癌組織内における癌胎児性蛋白(CEA, AFP, SP_1)の臨床的検討と酵素抗体法の細胞診への応用 : 第8群 子宮癌・診断I
- 20.子宮頚癌患者における免疫抑制機構に関する研究 : T細胞sabsets(Tγ,Tμ)およびsuppressor能,helper能の検討 : 第6群悪性腫瘍・免疫III
- 347 Biological Response Modifier (BRM) 術前投与による子宮頚癌患者の抗腫瘍活性増強に関する研究
- 379. 免疫賦活剤局注による子宮頚癌の細胞性免疫予備能への影響 : 第65群 悪性腫瘍 VIII
- 61.子宮頚癌患者の末梢血並びに腫瘍局所におけるリンパ球subsetsの動態に関する研究 : 第12群 免疫 III(56〜62)
- 255.子宮頚癌根治術後の末梢血並びに骨盤死腔液中好中球機能に関する研究 : 第51群 感染症など I(252〜257)
- 子宮頚癌における細胞性免疫能とその抑制機構
- 89 子宮内膜症におけるinterleukin 1(IL-1)およびIL-1 receptor antagonist
- 57 免疫担当細胞のサイトカイン産生能および増殖性反応に対する性ステロイドの影響
- 221 子宮内膜症患者腹水中のinterleukin 1, tumor necrosis factorおよびinterferon γの動態とその意義について
- P-301 卵巣癌におけるHER-2とc-myc遺伝子の増幅およびKi-ras遺伝子の変異
- P-297 卵巣癌における癌抑制遺伝子p53の異常
- INDUCTION OF INTERFERON-γ AND TUMOR NECROSIS FACTOR IN ASCITES OF A PATIENT WITH OVARIAN CANCER BY OK-432
- 93 Danazolの抗体産生細胞分化に及ぼす影響とその機序
- 28 Tumor necrosis factorの併用による新camptothecin誘導体(CPT-11)の抗腫瘍効果の増強
- 138 婦人科癌患者における細胞性免疫調節機構 : 単球のtumor necrosis factor (TNF)産生能とT細胞のTNF反応性の検討
- 104 子宮頚癌患者末梢血単核球のinterferon-γ産生能低下の機序について
- 子宮頚癌におけるTγ,Tμ細胞の動態とその臨床的意義