子宮頚癌における細胞性免疫能とその抑制機構
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概要
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子宮頚癌58例を対象として,全リンパ球に対するT細胞比率(T細胞%)を検討すると同時に,TNP修飾自己リンパ球に対するT細飽の増殖性反応(mixed lymphocyte culture;MLC),細胞障害性皮応(cell mediated lympholysis; CML)および両反応に対するCon A誘導suppressor T細胞活性を検索し,以下の成績を得た.1)T細胞%はIII期以外では顕著な変化を示さず,リンバ節転移の有無や腫瘍摘出前後の変動に関しても特に一定の傾向を認めなかった.2)頚癌進展に伴いMLC,CMLは低下,逆にsuppressor T細胞活性は増強し,特にその傾向はリンパ節転移陽性例に顕著であったが,術後4週目には大部分の症例でそれらの改善傾向を認めた.3)MLCにおける増殖性T細胞は,CML活性を発揮するcytotoxic T細胞の活性化を補助するhelper T細胞であり,Con A誘導suppressor T細胞は,helper T細胞の機能抑制を介してcytotoxic T細胞の活性化を抑制することが示唆された.以上の成績から,頚癌ではその進展に伴いT細胞%はさほど変化しないものの,suppressor T細胞活性の亢進とhelper T細胞活性の減弱が次第に著明となり,その結果cytotoxic T細胞の活性化が抑制されているものと推察された.
- 1982-11-01
著者
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