白血球遊走阻止試験(agarose-plate法)による婦人科悪性腫瘍の特異的免疫反応の検討
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概要
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婦人科癌患者における癌特異的免疫反応の分析を目的とし, 子宮頚癌27例, 卵巣癌14例, 子宮内膜癌4例, 絨毛癌4例, 外陰癌3例, 子宮肉腫3例より得られた癌組織および対照正常組織から3M-KC1法にて組織extractを作製し, これを抗原としてLeucocyte Migration Inhibition Test(agarose-Plate法)で検討した.さらに同一抗原を用い, 皮膚反応およびLeucocyte Adherence Inhibition Assayを行い, 各種検査法との相関関係も検討した.1.LMIT自家癌extractに対して, 子宮頚癌6/27例(22.2%), 卵巣癌4/14例(28.6%), 子宮内膜癌1/4例, 絨毛癌1/4例, 外陰癌0/3例, 子宮肉腫1/3例の陽性反応を観察し, 一方, 対照正常組織extractに対してはすべて陰性反応であつた. 同種類の癌extractに対しては, わずかに卵巣癌1例と子宮内膜癌1例にのみ陽性反応を観察した.2.LMITとLAIおよび皮膚反応との相関同時に施行しえた自家癌extractによるLAIおよび皮膚反応は, それぞれ, 子宮頚癌5/18例(27.8%), 4/17例(23.5%);卵巣癌7/12例(58.3%), 2/11例(18.2%);子宮内膜癌1/4例, 1/4例;絨毛癌2/4例, 0/4例;外陰癌1/3例, 1/3例;子宮肉腫2/3例, 1/2例に陽性反応を観察した.結果的に, LAIとの一致率は77.8%であり, 皮膚反応との一致率は55.6%であつた.3.extract蛋白分画による抗原性局在LMITで陽性反応を示した子宮頚癌extractからSephadex G-200ゲル濾過法で3分画を抽出した結果, 高分子量のA分画にその抗原性が局在する傾向にあつた.以上の成績から, 婦人科癌には癌特異抗原が存在し, これに対する患者の特異的免疫応答の成立していることがLMITによつて証明された.Lかし, 毛の交叉性については否定的であつた.また, 抗原の精製純化によつて, より免疫応答が高まり, 臨床への応用も十分期待できると考えられる.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1981-07-01
著者
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