子宮頚癌中間群に関する臨床病理学的検討 : とくに類表皮癌的性格を多く有する中間群Aについて
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概要
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子宮頚癌の組織分類に関し, 類表皮癌および腺癌の他に, 両者の性格および成分を併有するものを中問群とし, そのうち類表皮癌的性格を多く有するものを中間群Aとし, いわゆる狭義の混成癌を中間群Bとした.今回, 中間群Aに関し三細胞形態および組織構築面より, cribriform, (以下cribriと略)lobularおよびcomedoの3型に細分類し, その臨床的意義につき検討した.対象は, 過去14年間に教室で治療したIb期以上の頚癌594例(手術例164例, 放射線例430例)で, 各組織型別に平均年齢, 平均経産回数, 進行期, 頚部の形態, 癌進展状況, 放射線感受性, 5年生存率などにつき検討し, 以下の成績を得た.1)cribriタイプは, 頚癌全体の8.9%にみられた.経産回数が多く, 進行期では比較的早期のものを多く認めた.頚部は一般に小型で, 癌進展状況も幾分弱い傾向にあつた.放射線感受性は概して高く, 5年生存率は手術例および放射線例いずれも良好な傾向がみられた.2)lobularタイプは, 頚癌の35.9%を占め, 最も高頻度に認められた.頚部の形態はcomedoタイプと同様であつたが, 癌進展傾向ならびに放射線治療例の5年生存率はcribriタイプとcomedoタイプの中間的な成績であり, 中間群Aを代表する組織型と考えられた.3)comedoタイプは, 頚癌の27.8%に認められた.頚部の形態では, 大きくかつ噴火口状または花野菜状を呈するものが多く認められた.また癌進展傾向が強く, 放射線感受性は比較的低く, 放射線例の5年生存率は手術例に比し不良であつた.従つて, 本タイプは, でき得れば手術療法を選択することが望ましいと考えられた.以上, cribri, lobular, comedoタイプの順に, いわゆる臨床的悪性度が増す傾向を認め, 中間群Aを設定し, 3タイプに分類する意義を認めた.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1981-12-01
著者
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