ヒト卵巣中collagen分解酵素活性の排卵酵素としての意義
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概要
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卵胞破裂機構解明の一端としてcollagenolyticに作用するovulatory enzymesの存在が注目されている.ヒト卵巣中のcollagenolytic enzymes活性の存在についてはすでに報告した.本論文では合成基質N-carbobenzoxy-glycyl-prolyl-glycy-glycy-prolyl-alanine(CBZ-GPGGPA)を分解する中性域に至適PHを持つ酵素活性,合成基質α-N-benzoyl-DL-arginine-2-naphthylamide HCl(BANA)を分解する酸性域に至適pHを持つcathepsin B_1 活性について53例の dataを集積し,さらに合成基質dinitrophenol-proly-glutamyl-glycy-isoleucyl-alanyl一glycy-glutamyl-D-arginine OH(DNR-peptide)および^<14>C-labelled collagenを基質として中性域のpHで測定して卵巣中vertebrate collagenase活性を22例について検討した.これら諾酵素活性の変化を排卵日を中心として穎粘膜細胞層およびこれを除いた後の卵胞頂部,基底都に分けて検討した結果,ヒト卵胞頂部においては排卵に向けてvertebrate collagenase,cathepsin B_1のごときcollagen fiberを一次的にdeg.adeする酵素溝性が上昇しcollagen fiberを分解し,擦卵前卵胞では消費性に一過性活性低下を招くが,collagen fiberの分解を終了した排卵時には高い活性を示した.CBZ-GPGGPA分解酵素のごときcollagenolytic peptidase活性は前2酵素より遅れて排卵時に上昇し,すでに前2酵素によってdenatured collagenとたったcollagen残渣をさらに完全に分解するものと考えられる.これらの結果は超微細形態学的に観察されるmultivesicular structureやlysosomesの変動と一致しており,今回測定したcollagenolytic enzymesが排卵酵素である可能性を強く示唆している.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1980-08-01
著者
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