血清hCG値からみた絨毛性疾患の緩解判定に関する研究
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概要
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長崎大学産婦人科において1971年より1978年までの8年間に,血中hCG値測定によりfollw-upし得た絨毛性疾患について検討し,次のごとき結果を得た.1)奇胎178例のうち20例は子宮内容除去術後hCG値がLHレベルへ下降することなく,破奇または絨毛癌へ進展した.残りの158例は3〜12週でLHレベルに下降し緩解と判定されたが,その後,1例に続発を認めた.2)破奇12例,絨毛癌13例および区分不明34例は治療後にhCG値がいったんLHレベルに下降したが,その後,3例に続発ないし再発を認めた.これら3例はすべてLHレベル到達後に化学療法の追加はなされていないが,2コース以上追加した群40例からは続.再発は認められなかった.3)絨毛癌細胞(SCH株)の培養では,抗腫瘍剤(ACD 10^<-10>mol,MTX 10^<-7>molおよび10^<-8>mol)添加により,ホルモン分泌能および細胞増殖能の一時的低下をきたしたが,その後にこれらの回復を示す所見が認められた.4)破奇および絨毛癌の治療後,hCG値がLHレベルに下降した5.6%に細胞効果を認めた.以上の成績より,奇胎ではhCG値が一定期間LHレベルを持続すれば緩解とみたされる.また破奇や絨毛癌ではLHレベルに下降後,化学療法を2コース以上追加し,細胞効果を認めなくなれば緩解と判定することができる.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1980-05-01
著者
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