活性化ヒトマクロファージの非特異的抗ヒト腫瘍作用について
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概要
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ヒトの腫瘍に対する防御における活性化マクロファージの作用についてin vitroで検討した.その結果,lipopolysaccharideで活性化した「ヒト」マクロファージはtritiated thymidine(^3H-TdR)の「ヒト」腫瘍細胞DNAへのとり込みの抑制をもたらし,活性化マクロファージの抗腫瘍性が示されたが,正常2倍体細胞に対してはこの作用が認められなかった.また正常(非活性化)マクロファージは腫瘍細胞の^3H-TdRのとり込み抑制を示さず活性化マクロファージ培養上清にもこの作用が存在しなかった.マクロファージと腫瘍細胞の数を増し,両細胞の接触の機会を多くすると活性化マクロファージのこの抗腫瘍性は著しく増大した.さらに,抗腫瘍作用発現中の状態において両細胞を形態学的に観察したが,光顕的に活性化マクロファージは初期より24時間の観察全経過中,標的腫瘍細胞周囲を移動しつつこれと附着する像を認めた.この時腫瘍細胞には時間の経過とともに,細胞質内空胞形成,細胞質の変形等変性と見做される所見が見られた.電顕的にも活性化マクロファージと標的細胞との接触は培養直後より観察された.すなわち両細胞の細胞質突起が互いに嵌合(interdigitation)し,種々の形態で細胞の接触の像が認められた.しかし培養時間が経過しても両者間には明らかな細胞融合あるいは貪食の所見は認められたかった.これらの結果から,ヒト活性化マクロファージが免疫学的に非特異的な抗腫瘍作用を発揮することが示され,また作用発現にはマクロファージと標的細胞の接触が重要な役割を果たすと結論された.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1980-12-01
著者
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