Clomiphene citrate による排卵周期の黄体機能
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概要
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無排卵症例を対象に,Clomiphene citrate投与例(Clomiphene例)17例,Clomiphene排卵後の黄体期前半にHCG 5000単位隔目3回投与例)Clomiphene+HCG例)18例,Clomiphene排卵引き続き妊娠例(Clom-iphene妊娠例)8例の血中LH,FSH,Rrogesterone(P),Estradio1(E_2)値をClomiphene投与後経日的に測定し,正常月経周期(正常周期),正常初期妊娠の正常域(M土S.D.)と比較検討し,Clomiphene排卵例における着床不全の解明を行った.(1)Clomiphene妊娠例の各ホルモン値は,正常妊娠と著しい差をみとめなかった.(2)LHは,正常周期に比し,Clomiphene例,C1omiphene+HCG例ともに-6日から-3日にかけ有意の高値を示し,-1日には有意の低値を示す.LHピークは,正常周期と有意差はないが,Clomiphene例で17例中5例,Clomiphene+HCG例で18例中6例に正常域以下の症例が存在した.このLHピーク値の低値,及び-1の有意の低下は,排卵後の黄体形成を貧弱にし,Clomiphene排卵例の着床不全の一つの原因を成すと考えられる.FSHに関しては変化はなかった.(3)PはClomiphene例は正常か,黄体期後半にやや低値を示し,Clomiphene+HCG例では,黄体期後半にClomiphene例,正常周期より有意の高値を示す.(4)E_2は,Clomiphene例では,特に着床期に高値例が多く,Pが正常域にとどまるため,PとE_2の不均衡の大きいことが着床不全の一因をなしていると考える.(5) Clomiphene+HCG療法の意義は,黄体を刺激し,E_2に比べ,より多くのP 産生を促し,PとE_2の不均衡を補正することである.また,排卵期周辺にHCGを投与すれば,排卵日周辺のLH値の低下例に有効に働き,Clomiphene排卵例着床不全に有効に作用すると考えられる.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1979-09-01
著者
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