胎盤の付着部位と形状からみた骨盤位
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概要
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性娠中期にはほぼ50%近くを占めている骨盤位は妊娠の進行と共に自然に頭位に整復して満期分娩時には大部分が頭位で生まれるが,約3〜5%は依然として骨盤位として残る.これには種々の理由があげられるが,その一つとして胎盤の付着部位やその形状も考える必要がある.そこで既に報告した胎盤の付着部位および形状からみた分類(本誌30巻1号)^3^)を用い,これと骨盤位との関係について検討を試みた.その結果は1)胎盤の型別の骨盤位の頻度を逐月的に比較した成績では,いずれの型の場合でも妊娠月数が進むにつれて骨盤位が減少しているものの,胎盤の型により減少の程度に差があることが認められた.即ち胎盤が子宮壁の一つの壁に子宮底に接して付着し,かつその形が横長の楕円形又は卵円形を示す場合(M_2型,S_2型)と胎盤が子宮の前後両壁にわたり付着するすべての場合(両壁付着群)ではこの他の形の場合に比べて,妊娠の進行と共に自然に起こってくる減少度が低い.2)また骨盤意例のみについて胎盤の型別の頻度分布を逐月的に検討してみると,上述のM_2型,S_2型及び両壁付着群では,残りの他の型が減少の傾向を示すのに対し,明らかに増加する傾向を認めた.そのため満期分娩児では,頭位の場合には,M_2型,S_2型および両壁付着群とその他の型との比は1:2であるのに対し,骨盤位の場合のそれでは3:1を示し,著しい差があることが認められた.したがって骨盤位に認められる胎盤の型分類別の分布は骨盤位のパターンと,頭位におけるそれは,頭位パターンと言い得るが,この両パターンは初経産の別なく認められ,また同一人で頭位と骨盤位を経験した症例でも同様に認められた.従って胎盤の付着部位と形状とは,骨盤位の成因としてかなり大きな役割を果たしているものと推論した.
- 1979-04-01
著者
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