広汎性子宮全摘術後の尿路障害

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昭和47年1月から同51年末までの,開院当初の5年間に北里大学病院産婦人科で施行した広汎性子宮全摘術96例を対象に,本術式による腎尿路系への影響を検討した.1)膀胱睦痩が2例発生したが,その他の臓器損傷,痩孔形成は認められたかった.2)残尿が50ml以下となるのに要する術後平均日数は36.6日(術後照射群41.4日,非照射群31.3日)であった.3)術後尿路感染の頻度は52.7%(照射群57.4%,非照射群47.8%)で,顕症感染は17.2%に認めた.4)レノグラム所見(1)術後1か月での正常率は56.3%(尿管間置群62.5%,非間置群50%)で,37.5%は両側に,6.3%は片側に異常化を来たした.(2)術前異常を呈した例の1か月後では48%(間置群61.1%,非間置群14.3%)が改善し,12%(間置群5.6%,非間置群28.6%)が悪化した(腎尿管側).(3)術前の所見に関わらず術後1か月目に悪化したものは32.6%(間置群24%,非間置群43.6%)である(腎尿管側).(4)長期予後は尿管間置群に優れている.5)IVP所見(1)術後1か月目には55.6%(間置群47.1%,非間置群63.2%)に悪化を来たした.(2)異常化例のうち6か月以上経過例は,間置群77%,非間置群57%が改善した.水腎症の改善はそれぞれ68.8%,57.7%である(副腎).6)レノグラム,IVP併用の比較では,非間置群ではよく相関したが,間置群では両所見の解離がうかがわれた.7)小林の提唱する尿管の圧迫防止法(尿管の膀胱直腸間置法)の有用性が確認された.
社団法人日本産科婦人科学会の論文
1979-12-01

広汎性子宮全摘術後の尿路障害

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