子宮内膜および培養子宮体癌細胞におけるアルカリホスファターゼの性状
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概要
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子宮内膜由来alkaline phosphatase(ALP)が,他の臓器および組織由来のALPに比べ,独自の性質を有するか否か,また子宮内膜癌細胞(HEC-50-B)に存するALPが,果して子宮内膜由来ALPと如何なる関係にあるかを,各種阻害剤試験,熱耐性試験に加え,免疫学的検索も行い検討した.その結果,1)子宮内膜ALPは,L-phenylalaineではほとんど阻害されず,L-homoarginineには強い阻害をうけ,またsodimdeoxychglate,imidazolrは中等度阻害された.熱試験にては,ほとんどその活性は消失Lた.これらの結果から,子宮内膜ALPは、胎盤あるいは小腸性ALPとは異たる性質をもつことが解り,逆に胆汁由来ALPとは極めて類似点のあることが判明した.即ち,子宮内膜ALPはアイソザイムの分類上は肝由来のものに最も近いと結論された.2)子宮内膜癌細胞(HEC-50-B)に存するALPは,各種阻害剤に対する反応結果から,子宮内膜由来ALPと類似のの性質をもつことが判明した.更に抗子宮内膜ALP抗体を用いた免疫学的検索からも,子宮内膜相当のALPをもつことが確認され,癌化によっても,なお正常子宮内膜由来ALPを堅持することが示唆された.一方,HEC-50-BのALPは,抗胎盤ALP抗体を用いた免疫学的検索では,胎盤由来ALPの存在は確認されなかったが,熱耐性試験では,子宮内膜ALPに比べ,軽度の耐熱性増加を認め,この点では胎盤性ALP類似の性質をその一部に含む可能性が示唆された.このことは正常細胞の癌化に伴う一種の酵素偏倚とも解釈された.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1979-12-01
著者
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