胎盤性アルカリフォスファターゼの産生・放出機構に関する研究
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概要
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妊娠後期,妊婦血中に急増する胎盤性アルカリフォスファターゼ(pl-Al.Pase)〔耐熱性であることから耐熱性アルカリフォスファターゼ(HSAP)とも呼ばれる〕は,胎盤機能の一面を表わし,胎盤機能検査法の1つとして有用である.今回,pl-Al.paseの産生・放出につきshort Incubation実験,妊娠家兎によるin vivo実験および臨床的検討を行い,次の結果を得た.1)3時間のshort Incubationにより,胎盤内HSAPは有意に増加し,かつ培養液中へ放出されていた.胎盤からのHSAP放出に関し,0℃条件下では37℃下の47%の放出量にとどまった.cyclic AMP系薬剤,エネルギー代謝系薬剤,妊娠中毒症と関係深い薬剤および各種Steroidは,胎盤からのHSAR放出こ有意の影響を与えなかった.20mg/dlおよび40mg/dl無機リン添加によってHSAP放出は経時的にに低下し,無機リンがHSAPの産生・放出に関与している示唆を得た.カルシウム添加および除去では有為さを認めなかった.2)妊娠家兎を,普通食,リン欠乏食または無機リン負荷にて各々飼育し,血清中カルシウム,無機リン,アルカリファスファターゼ(AL.Pase)を測定したが差異は認められなかった.しかし胎盤内AL.Pase活性はリン欠乏食群で高い傾向を示し,無機リン負荷群で有意に低下した.3)妊娠母体は低カルシウム,低無機リン血症の傾向で,胎児は高カルシウム,高無機リン血症でありactive transportされている.反対にAl.Pase,HSAPは母体側に有意に高い.妊娠母体PTH-C末端活性は高い傾向を示し,すなわちsecondary hyperparathyroidismの傾向にある.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1979-10-01
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