Pregnancy Zone Proteinに関する基礎的臨床的研究
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概要
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妊娠蛋白の1つであるPregnancy Zone Protein (PZP)の抗血清を作製するとともに,各種婦人科疾患並びに妊娠の生理及び病理におけるPZPの動態を検索し,その産生部位と生物学的意義について検討し次の結果を得た. 1) 妊娠血清のSephadex G-200でゲル濾過して得た4つのPeakのうち,第1 Peakの後半にPZPがみとめられた. 2) リンパ球のPHAによる芽球化反応抑制作用を有する分画はPZPの分画と一致していた. 3) PZPの局在は胎盤絨毛細胞にみとめられなかつた. 4) 正常妊娠でのPZP量は,妊娠前期から中期にかけて急激に増加し後期は横ばいの状態になり,分娩後は徐々に低下の傾向を示した. 5) 切迫流産例のPZP量は,同時期正常妊娠に比し低値を示し,予後不良例は特に低値を示した.またMole in uteroでの奇胎例では,ばらつきが大きく一定の傾向を示さなかつた. 6) 絨毛性疾患においてもPZPがみとめられたが,HCG値及びskin graftによる影響はみとめられなかつた. 7) 妊娠中毒症,子宮内胎児死亡例では,同時期妊娠に比し有意の低値を示した. 8) 悪性腫瘍例では全体的に低値であるが,良性腫瘍に比して高値を示し,特に再発例では高値を示した. 9) 経口避妊薬服用者は,妊娠中後期と同様の高値を示し,PZP量の高値は服用期間の長い例に多くみとめられた. PZPは胎盤絨毛,〓帯血にみとめられずまた経口避妊薬で高値を示すことから,妊娠特異的とはいえない.更に,同種移植現象である妊娠の継続維持におけるPZPの動態,その破綻である流産における低値,また悪性腫瘍特に再発例に高値を示すことから,その免疫阻止作用と共に免疫現象における生物学的意義が示唆された.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1977-11-01
著者
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