自然流産および奇胎における自己絨毛細胞に対する患者リンパ球の感作状態について : マクロファージ遊走阻止試験
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概要
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妊娠初期病態としての自然流産および奇胎妊娠について,母体(患者)リンパ球が自己の絨毛組織細胞に対してどのような感作状態にあるかを知るために,掻爬絨毛組織より絨毛細胞を採取し,これを患者リンパ球および他人リンパ球との間で混合培養を行い,得られた培養上清中のMIF活性をマクロファージ遊走阻止試験にて検討し,以下の成績を得た. 1. 18例の正常妊娠絨毛についてのMIは,絨毛細胞-患者リンパ球(autochthonous)の関係で平均69.79±17.34%,絨毛細胞-他人リンパ球(allogeneic)の関係で95.28±12.54%であつた. 2. 13例の流産絨毛についてのMIは,autochthonousの関係で平均63.73±21.85%, allogeneicの関係で95.12±10.90%であつた. 3. 11例の奇胎絨毛についてのMIは,autochthonousの関係で平均84.37±15.37%, allogeneicの関係で97.38±8.90%であつた. 以上のことから,患者リンパ球はいずれの場合でも自己の絨毛細胞に対してspecificに感作されており,この状態は正常妊娠と流産とに比較して奇胎では弱いものであることが示された.これらの知見について考察を加えて報告した.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1977-11-01
著者
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