合成性ステロイド投与時の下垂体機能についての臨床的研究
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概要
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性ステロイド投与に際しては,その長期連用の下垂体前葉に対する影響が問題となるが,この点について未だ十分な解明はなされていない.そこで若者は下垂体前葉に与える影響をLH-RH testとRadioimmunoassayにより系統的に検討し以下のような結果を得ることができた. 対象は経口避妊薬(norgestrel 0.5mg+ethinyl estradiol 0.05mg合剤)長期投与例で,これに対照正常周期例,norgestrel単独投与例,ethinyl estradiol単独投与例を比較対照した. 結果:合剤投与では下垂体機能抑制がみられた.その程度は内服の各時点で異なり,一定周期内では,LH-RH testの前値,反応とも周期後半になるに従い進行し,休薬期には,抑制がとれてreboundの傾向を示し,次周期に再び抑制されていくという周期的変化を呈した. 服用期間による影響は,前値1〜2年で抑制著明,反応はFSHが最初の1〜2年に低下したが,その後は有意な進行はなかつた. 年令差(20代と30代)は特にみとめられず,むしろ個人差が大きい.FSH/Lh ratioは対照同様test後低下した.服用中止後は5〜10日でFSHが正常値以上にreboundし,%increaseはFSHの方が小さかつた.中止後1〜5ヵ月では,test成績の回復に従い正常月経周期回復がみられた. 単味剤では,ゲスタゲン,エストロゲンともこの量での抑制はみられなかつた. 以上により今回の合剤での抑制はゲスタゲンとエストロゲンの相乗効果と推定されたが長期投与でも抑制はほぼreversibleであつた. また下垂体のみならず間脳にも影響を与えていることが示唆され,FSHとLHの放出に差のあることもみられた.このように,ステロイド投与時の下垂体機能を,LH-RH testによりうかがい知ることができた.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1976-03-01
著者
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