産褥経過における下垂体の内分泌機能の回復に関する研究
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
著者は純化LHおよびFSHとその抗体を用い,2抗体法によるRadioimmunoassayにより,ヒト妊娠産褥期におけるLH (HCG)とFSHの動態を観察し,さらに産褥期のヒト下垂体機能をLH-RHに対する反応から検討を加え,以下の結果を得た. 1. 正常月経周期中のLHおよびFSH値は排卵前期が最も高く,続いて卵胞期,黄体期の順であつた.また,正常月経周期中のLH-RH投与によるLH, FSHの反応の強さは排卵前期において最も著明で,卵胞期ならびに黄体期はほぼ同程度であつた. 2. 妊娠中のFSH値は正常非妊時に比し低値であり,LH-RH投与により全く反応を示さなかつた. 3. 分娩後のLH (HCG)は分娩後24時間までの間に著明に減少し,以後10日目まで緩やかな減少を示し,分娩後15日目頃より正常卵胞期レベルに戻り,FSHは妊娠中の低値が分娩後も続き,分娩後20日目頃より正常卵胞期レベルに達した. 4. 産褥期のLH-RH投与では分娩後10日目以後よりFSH優位に反応が現われはじめ,分娩後一ヵ月目では正常非妊時に比して著明な反応を示して,下垂体の機能亢進を思わせる所見を呈した. 5. 分娩後2ヵ月目以降ではLHに先行してFSHの反応が戻り,およそこの時期より正常非妊時のLH-RHに対する反応に近い結果が得られた. 6. LH-RHに対するLHの反応の回復が正常非妊時の状態に戻るには分娩後数ヵ月を要する. 7. 授乳および非授乳状態におけるLH-RH投与後の反応の差はとくにみられなかつた. 8. 分娩後月経のまだ回復していない状態におけるLH-RHに対する反応は,すでに月経の回復している婦人に比し著明であつた.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1975-10-01
著者
関連論文
- 75. 成熟期, 更年期, 老年期婦人の血中 FSH, LH および estradiol-17β と年代別閉経率について
- Radioimmunoassay による閉経前後および去勢後婦人の血中 LH, FSH, progesterone, estradiol について
- 更年期およびその前後の婦人の不定愁訴と血清 estradiol, FSH および LH との相関
- 産褥経過における下垂体の内分泌機能の回復に関する研究
- 分娩前後におけるヒト下垂体の LH-RH に対する反応
- 36. 分娩前後における下垂体のLH-RHに対する反応
- 合成LH-RH単独投与による排卵誘発の可能性の検討