排卵障害症に対する LH-RH test の臨床応用
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
排卵障害婦人136名および対照正常周期婦人32名その他13名に, LH-RH test (100μg, I.M.) を施行し, その方法, 臨床的意義について検討するとともに, 以下の結論を得た. (1) 正常周期者の排卵期にLH, FSHとも著明な高値反応亢進を認めるが, 卵胞期と黄体期の間には有意差は認められず, 両期を合わせた正常群の range は, LH前値: 20mIU/ml以下, 頂値: 30〜250mIU/ml, FSH前値: 20mIU/ml以下, 頂値: 40mIU/ml以下であった. (2) 無排卵周期症および多嚢胞性卵巣を含む第一度無月経では, LHパターンは正常型ないし比較的高値反応良好型を示し, FSHパターンはほぼ正常型を示した. (3) 多嚢胞性卵巣では, 卵巣楔状切除前, LHが比較的高値反応良好型を示す症例は卵巣楔状切除が有効であり, その予後診断に LH-RH test が有用である. (4) 第二度無月経を, LHパターンにより, high-good型, low-poor型および中間型に分類し, さらに中間型をFSHパターンにより高FSH群と低FSH群に分類した. high-good型および中間型高FSH群(FSH亢進群)は, 排卵誘発療法に対して予後不良である. (5) 閉経後, 去勢後の卵巣機能低下例は, high-good型を示し, 下垂体腫瘍その他の下垂体障害例は, low-poor型を示した. (6) 神経性食思不振症, 減食性無月経の症例は, 中間型またはlow-poor型を示した. (7) LH-RH test は, 下垂体機能検査として重要であるのみならず, 排卵障害症の病態の類別および治療法の選択に有用である.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1974-07-01
著者
関連論文
- 黄体機能よりみた着床不全 : 初期流産の研究 (初期流産管理の基礎)
- 116. 筋注投与によるLH-RHの排卵誘発
- 79. 多嚢胞性卵巣(PCO)に対する楔状切除前後の血中ホルモン動態について
- 人工受精法 (不妊症診療上の問題点-2-)
- 60. 多嚢胞性卵巣 (PCO) 症例の術前診断及び楔状切除適応についての再検討 -特に LH-RH Test を中心として
- 排卵障害症に対する LH-RH test の臨床応用