産婦人科悪性腫瘍患者の末梢血リンパ球の動態と遷延免疫反応
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概要
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担癌体の抗腫瘍作用に胸腺系リンパ球が重要な役割を演じていることは周知の事実であり, 特に遷延免疫との関係が深いことが認められているが, 詳しいことはまだわかつていない。そこで著者は悪性腫瘍患者の流血中リンパ球の動態を, リンパ球スコア(仮称), PHAによる幼若化率によつて追求し, またツベルクリン反応, DNCB皮膚反応を施行して遷延免疫との関係についても追求した.更に大川の人工ヘパリン体を用いることによつて流血中へのリンパ球の動員をはかり, その多少と幼若化率, 遷延免疫および予後との関係についても追求し, 以下の結果を得た.1.悪性腫瘤患者には末梢血リンパ球絶対数, 比率の減少が認められ, 待に末期群に著しく減少していた.著者の表わしたリンパ球スコアはこれをよく反映した.2.PHAによる末梢血リンパ球幼若化率は健常群に比し, 良性疾患群, 頚癌I, II期群は同程度に有意の差をもつて低下していた.III, IV期, 再発群では特に著しく低下しており, リンパ球絶対数の減少だけでなく機能の低下も認められた.3.遷延免疫反応は病期の進行に従つて低下しており, これとリンパ球スコア, 幼若化率を経時的に追求していくことが, 予後判定, 再発の早期発見に役立つ結果を得た.4.人工ヘパリン体によってリンパ系が賦活された症例は, 流血中へのリンパ球の動員が著明であり, 遷延免疫反応の亢進を認めた.これらの症例では予後が圧倒的に良好であつた.5.人工ヘパリン体によって動員されるリンパ球はRHAに反応し, 胸腺系リンパ球と考えられ, すでに動物実験で得ている結果と一致した.6.以上の結果から人工ヘパリン体の使用による悪性腫蕩に対する non-specific active immunotherapy の可能性を見い出した.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1973-09-01
著者
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