Radioimmunoassay による, 妊娠時血中 Estrone, Estradiol および Estriol の動態の研究
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概要
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妊娠時の血中 estrogen の測定は, 胎児胎盤系機能の分析に極めて重要であり, 現在注目されている測定方法として competitive protein binding assay および radioimmunoassay (RIA) が開発されている. しかし, 現在のところ前者の方法を用いて主として estradiol-17β のみが測定され, 後者の方法を用いては estrone (E_1), estradiol-17β (E_2) が一つの assay 系で行なわれ, estriol (E_3) については別の assay 系が用いられている. そのため, 血中 E_1, E_2, および E_3 を単一の assay 系で同時に測定しうることは, 極めて有意義な進歩と考えられる. 著者は, 従来 E_1, E_2 のRIAに用いられていた抗 estrone-17-o-BSA 抗血清を用い, tracer として 6,7^3H-estriol を用いることにより, E_1, E_2 および E_3 が同程度の displacement 能力を示すことを経験し, この方法を用いて, 血中 E_1, E_2, E_3 を同時に測定しうる簡便な RIA を開発した. これを用いて, 妊婦の血中 E_1, E_2, E_3 を測定し, 妊娠経過に伴う推移, 日内変動および Episodic secretion の有無について検討した結果, 1) 妊娠の経過に伴い, 血中E_1, E_2, E_3 はいずれも増加するが, その増加は E_2 が最も多く, 次いで, E_3, E_1 の順となつた. 2) 日内変動に関しては, E_1 に午前9時に最も高く, 午後低下する傾向をみとめたが, E_2, E_3 には一定した変動をみとめなかつた. 3) 2例について, 昼間20分毎に測定した血中 E_1, E_2, E_3 値のうち, E_2に2例とも変動がみとめられ, また, E_3 にも1例軽度の変動をみとめたが, これら予備的な成績からは, 妊娠時の estrogen の Episodic secretion の存在については確定しえず今後の検討を必要とする.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1973-07-01
著者
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