非妊時ならびに妊娠時の血中Progesterone動態について
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概要
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Murphy (1963)により開発されたcompetitive protein binding assay (C.P.B.法)は極めて感度が高くしかも操作が容易であるので血中微量ステロイドの測定には最も卓越した方法の一つとなつている. そこで著者はMurphyのNeill, Johansson変法に若干の改良を加えて, これを非妊時ならびに妊娠, 分娩, 産褥時の血漿中progesterone濃度の測定に応用し, 以下の如き結果を得た. 1)正常月経周期における末梢血の血漿中progesterone濃度 ; 卵胞期で0.05±0.04μg (平均値±標準偏差, 血漿100ml中, 以下同様), 黄体期で0.86±0.42μg排卵期で0.21±0.04μg, となり排卵2日前より上昇傾向をみとめた. 月経周期第23日目で1.49μgと最高値を示した. 2)正常妊娠時の末梢血中濃度 ; 5-8週で1.68±0.64μg, 9-12週で2.08±1.16μg, 13-16週で2.25±0.68μg, 17-20週で3.44±0.65μg, 21-24週で4.50±1.77μg, 25-28週で7.25±1.56μg, 29-32週で9.04±1.97μg, 33-36週で10.71±2.55gμ, 37-40週で16.87±4.26μg, 42週以降では15.99±2.69μgであつた. すなわちprogesterone濃度は妊娠16週迄漸増し, 17週より急増し, 40週にてピークを示し, 42週以降でやや低下した. 3)また胎児娩出直前では7.10±0.68μg, 胎盤娩出直後では1.44±0.47μg, 産褥第1日で0.83±0.08μg, 2日で0.46±0.26μg, 3日で0.27±0.06μg, 4日では0.11±0.04μg, で胎盤娩出後急減した. 4)臍帯動脈管血で23.14±7.53μg, 静脈管血で46.63±11.00μg, 胎盤後血では65.22±24.83μgであつた. 5)妊娠10カ月羊水では2.24±0.14μg, となり正常妊娠13-16週の値とほぼ等しい. 6)切迫流早産例では, これの各選別濃度を求めると正常妊婦のそれに比べて, いずれも10%前後の低下を認めた. 7)妊娠中毒症では同一周期の正常妊娠に比べて重症例で低く, 軽症例で高値を示した. 8)36-40週の無脳児妊娠においては分娩前母体末梢血濃度は正常妊娠のそれの約1/3量となり, 減少を示した. 9)胞状奇胎妊娠時の母体末梢血血漿濃度は妊娠前, 中期でやや高値を示した. 10)双胎妊娠, 例ではやや高値を示した.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1971-11-01
著者
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